中途覚醒の課題と解決方法とは?

2023年10月24日

睡眠中に何度も目が覚めてしまう事は、誰もが経験したことがあるのではないでしょうか。

眠り自体が浅く睡眠中の変な時間に何度も目が覚めてしまい、一度目が覚めてしまうとなかなか寝付けず、睡眠時間が減ってしまう事象の事を「中途覚醒」と言います。
この変な時間に目が覚めてしまう要因は様々ありますが、睡眠の悩みのランキングでは常に上位に入るような比較的身近な悩みではあると思います。

今回は寝られない事で起こりうる問題と、寝られやすくするためのおすすめの行動をご紹介します。
医学博士 睡眠学研究者
白濱 龍太郎 氏
<PROFILE>
日本睡眠学会専門医、医療法人RESM理事長。福井大学医学部 客員准教授。ハーバード大学公衆衛生大学院にて睡眠に関する先端の研究に従事。東京オリンピックでは選手のサポートを行うなど、ビジネスやスポーツ界からの信頼も厚い睡眠のエキスパート。

中途覚醒はなぜ起こるのか

考えられる要因はいくつかあります。

最初に挙げられるのは加齢によるものだと言われています。
人は年を取ると日中のエネルギー消費量が減るため、それに伴い身体が求める睡眠時間も短くなります。睡眠ホルモンのメラトニンの分泌量が減ることも影響しているのだと思います。

別の要因としては就寝前の水分の摂りすぎによりトイレが近くなること、そしてストレスや悩み事により睡眠中に交感神経が優位になってしまう事も要因として考えられます。
特に昨今のコロナによる生活環境の変化に伴う将来への不安等により高齢者だけでなく若年層も含めストレスにより睡眠の質が低下していると言われています。

ストレスや不安と関連した要因として飲酒も考えられます。
別のコラムでも指摘しましたが、睡眠前の飲酒は眠りが浅くなると同時に、トイレが近くなる等、中途覚醒を引き起こす要因となります。

そして睡眠時無呼吸症候群も要因のひとつと考えられます。
無呼吸症候群とは眠っている間に呼吸が10秒以上止まったり、止まりかける状態が起きるまで何度も繰り返される病気です。重度の症状になると突然死のリスクを高めるほど重大な病気です。

マットレスや枕など、寝具が自身の体調や体形に合っていない事も要因になります。
身体に密着するようなマットレスで蒸し暑くて起きてしまったり、寝返りがしにくい環境により蒸れいな寝返りで目が覚めてしまったり、と寝具選びも非常に重要なポイントになります。

中途覚醒による睡眠の質への影響とは

では中途覚醒がどのような睡眠の質や日中のパフォーマンスへ影響を与えるのでしょうか。

1つ目は容易に想像できると思いますが、中途覚醒により何度も目が覚め睡眠の質が悪い状態を続けることで、疲れが残った状態で毎日を過ごすことなります。

そして睡眠は脳を休め、毎日の記憶を形づける事も睡眠中に行っています。
(別コラム“寝れない時のおすすめの行動とは”でも記載しましたのでチェックしてみてください)

つまり中途覚醒により深い睡眠が出来ない毎日が続く事により、体力的な部分だけでなく、記憶力や集中力も低下し仕事や家事、そして車の運転などへ大きな影響を与えてしまうことが考えられます。

そして精神的な部分への影響も考えられます。うつ病です。
中途覚醒が続く事により疲れが残っており、毎日ネガティブな気持ちえ朝を迎える事になります。
そしてそれが毎日続くことで、気持ちが落ち込んでしまい、そのい状態が続く事でうつ病に発展することもあります。

中途覚醒を減らす解決方法とは

中途覚醒を減らすためには基本的には今までのコラムで書いた日中の習慣を実践していただく事が重要だと思います。その中でも特筆すべき点はコチラになります

▶︎ 朝起きたら太陽の光をしっかり浴びる
その自律神経は、日中活動をする「交感神経」と夜リラックスさせ体を休ませる「副交感神経」の切り替えがなされます。

睡眠から目覚めた直後は「副交感神経」が優位な状態です。その状態から朝から活動的に行動できる様切り替えるためには、太陽の光をしっかりと浴びることで、睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌がストップし眠気がなくなり、交換神経が優位な状態へ移行していくのです。

もちろんカーテンを閉めて就寝し、朝起きたときにまず初めにカーテンを開けて部屋の照明もオンにすることで、交感神経を優位にすることができ朝すっきりと目覚めることに繋がるでしょう。

▶︎ 仕事を夜遅くまで行わない/テレワークでは夜遅くまで仕事をしない
テレワークになると業務内容によっては、仕事を終わらせる区切りがつけづらく夜遅くまでPCに向かって仕事をしてしまう事がありますよね。
また人によっては家庭の用事等の状況によっては自分の時間を夜確保して時間を柔軟に使い仕事をする人もいると思います。でもそれでは夜勤をしているようなものです。

出勤日とテレワークを複合的に設けている会社が昨今増えていますが、そういった複雑な勤務形態の中では生活のリズムを乱す原因に直結するので注意が必要です。

何度も記載をしていますが、24時間のリズムが崩れることは睡眠の質を上げる上で大きな壁となります。また夜遅くまでブルーライトを浴びる事もメラトニンの分泌を減らすことに繋がり、結果として睡眠に悪影響を及ぼします。そして、もしテレワークを行うときに日中に時間を取りづらい場合、夜よりも朝に仕事をする時間を割く方がまだよいと思います。

▶︎通気性や程よい弾力性の寝返りのしやすいマットレスを使う
こちらは中途覚醒の要因のひとつとなる寝苦しさや蒸れ・暑さで目が覚めてしまうことを防ぐことが出来ます。

寝心地の好みはひとそれぞれあるでしょうが、睡眠中にいかに眠り続けられ、朝まで起きないか、中途覚醒を起こさないかは、行動の見直しと同時に使っているマットレス選びも大事なのです。
睡眠中に暑い→暑さで無理な寝返りを打つ を続けていれば中途覚醒は増えますよね。だからこそ、通気性がよく寝返りがしやすく、中途覚醒を起こさないことが期待できるマットレスを使うことは大事なことだと思っています。

白濱龍太郎先生によるまとめ

中途覚醒には様々な要因が考えられます。

それはストレスや悩み等の自分自身が要因になることもあれば、寝具等の外部環境が要因になる事もあります。まずは自分の中で何かストレスや不安など、中途覚醒の要因になる事がないかを考えてみることもよいかと思います。そしてストレスや不安がある場合、それを文字に書き起こすことで気持ちが楽になり、眠りやすくなることもあります。

加齢で中途覚醒が起こる方は、日中に少しでも歩くなど軽く運動をして、太陽の光を浴びる事で24時間の周期リズムが整い夜ぐっすり眠ることが出来るようになることがあります。

何よりまずは自分の睡眠環境で何が課題になっているのかを別コラムで記載した要因などと照らし合わせて、確認しその課題解決に沿った行動をしてみることをおススメします。

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