
寝れない時のおすすめの行動とは
2023年8月30日
今回は寝られない事で起こりうる問題と、寝られやすくするためのおすすめの行動をご紹介します。

白濱 龍太郎 氏
日本睡眠学会専門医、医療法人RESM理事長。福井大学医学部 客員准教授。ハーバード大学公衆衛生大学院にて睡眠に関する先端の研究に従事。東京オリンピックでは選手のサポートを行うなど、ビジネスやスポーツ界からの信頼も厚い睡眠のエキスパート。
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寝れない時が多いことのデメリットとは

夜就寝時に目を閉じてじっと眠くなるのを待ってもなかなか寝れない、「ああ、今夜もか‥」そう思いながら1時間~2時間時間が経ってしまうようなお悩み、こんな悪い習慣が続いてしまうと様々な問題を引き起こす可能性があります。
例えば以下のような症状は悪い睡眠と深く関係がしている可能性があります。
・動脈硬化が進んでいる
・高血圧が続いている
・血糖値がいつも高い
・コレステロール値が高い
・肥満である
・糖尿病と診断された
・抑うつ傾向がある
このように睡眠は身体も心もどちらの健康にも密接にリンクをしていると言えます。理想的にはふとんに入ってから約10分~15分で眠りに入るのが良い睡眠です。
だからこそ毎日の睡眠、寝れない時にどのような行動でしっかりと寝れる時間に変えるのかが重要です。そしてただ眠るだけでなく、質の良い睡眠を実現するために何が大事なのかを今回は紹介したいと思います。
寝れない時のおすすめの行動1

朝すっきり目覚め、一日を活動的にすごくためには、眠りはじめの4時間の睡眠の質をいかに良くするかが、大事です。これを実現するためにも、寝れない時にするべき行動の1つが、「寝る前ストレッチ」です。
以下ページで紹介している「寝る前ストレッチ」は、入眠のために大事な深部体温と自律神経のリズムの両方を適正化することができ、スムーズに眠ることができるでしょう。
もう少し具体的に説明をすると、寝る前ストレッチを行うことで、深部体温を一時的に上げる事に繋がり、結果眠るときに上がった深部体温がさらなる低下を促す事ができます。
さらに、深呼吸をゆっくりと行いながらストレッチを行う事で、副交感神経を優位にさせる働きが期待できます。この2つの要素を促す力があるのが寝る前ストレッチなのです。
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そしてもう1つ。
それは毎日続けて、習慣化することです。もちろん寝れない時に寝る前ストレッチを行うことで入眠を促進することが出来ますが、さらに毎日の睡眠の質を上げるためには続けていくことで、寝る準備として習慣化し体にもうすぐ眠ることを教えてあげることも大事です。
寝れない時のおすすめの行動2

寝れない時の1つの要因としてストレスや不安があります。
ついつい仕事や人間関係などの悩みについて色々と考え始めてしまうと脳が活性化し寝れなくなります。特に眠る前の脳は敏感になっているので、いろいろな考えが頭の中をめぐっていき、深みにはまると寝れない時間をすごす事になります。
そんな考えごとによる寝れない状況を解決する方法ひとつとして、一度起きて考えていた不安や悩みを淡々と書き出すことです。考えたことをそのままメモしたり、不安や悩みをノートに吐き出してしまうイメージです。
この行動でも気持ちが落ち着き、眠る事に繋がります。
寝れない時のおすすめの行動3

深部体温の適切な低下を促すことが眠るために重要だと先ほどご説明をしました。
そのために自分自身ができることもありますが、環境をチューニングすることも大事な行動のひとつになります。
それは寝室内の温度です。
熱帯夜が多い日本の夏に、エアコンを切って睡眠をすることは自殺行為と言っても大げさではないと思います。昨今電気代高騰もあり、どうしても節約を意識した行動を必要とされますが、健康な状態であることが前提の節約です。睡眠中の熱中症や冬も極端に寒い部屋で睡眠をすることで深部体温が下がりすぎて命の危険を感じるレベルになることを「低体温症」と言います。
そのため寝れない時に、深部体温をスムーズに下げ、眠れる環境にするために、エアコンは切らずに、設定温度を日中より1度上げた状態にしてみてください。1度上げる理由は、睡眠時に深部体温が1度下がるためです。女性の場合は温度変化に敏感なので寒いと感じる場合はさらに1度上げることも問題ありません。
白濱龍太郎先生によるまとめ
人はなぜ寝ないといけないのでしょうか?
これに正確に答えることが出来る人はそこまで多くないと思います。
身体を動かしたときと同様に、脳も活発に働くとエネルギーを消費し、体温はそれに伴い起床してからお昼までの時間にぐんぐんと上昇します。
しかし脳は熱に弱いためそのままではオーバーヒートします。だから夜にはその働きを低下させクールダウンする必要があり、これこそが寝ることの目的のひとつなのです。
そして脳は寝ている時に日中に覚えた事について記憶の定着の働きをしていると言われています。また、深い睡眠のなかでしか行われないこともあります。それは日中の活発な行動により損傷した神経ネットワークの回復です。短時間の浅い睡眠ではこの機能がうまく働かず、得た情報が脳の中でうまく整理されず記憶力の低下につながります。
睡眠は体の疲労回復と同時に日中エネルギッシュに働いていた脳を休め翌日の日中のパフォーマンスを維持するために必要不可欠なものです。様々な要因で寝れない時はあると思います。ぜひ今回紹介した行動をためして、しっかりと脳をクールダウンさせてあげて下さい。