ハウスダストによるアレルギーや臭いが気になる方へ。マットレスを洗う重要性とは。

2023年5月19日

みなさん、マットレスの衛生面はどれぐらい意識をしているでしょうか?

シーツを定期的に洗う方、毎日除菌スプレーをかける方、外に干す方、ケアの仕方をそれぞれだと思います。人によってはハウスダストによるアレルギー対策として定期的に洗う事が必要な方もいらっしゃると思います。逆に特に何もしていない、という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
もちろんシーツやカバーだけでなく、マットレスをキレイにすることで気持ちの面で快適になると思いますが、それ以上に衛生的に保つ事のメリットは存在します。

今回はそんな「マットレスを洗う」重要性について紹介したいと思います。
医学博士 睡眠学研究者
白濱 龍太郎 氏
<PROFILE>
日本睡眠学会専門医、医療法人RESM理事長。福井大学医学部 客員准教授。ハーバード大学公衆衛生大学院にて睡眠に関する先端の研究に従事。東京オリンピックでは選手のサポートを行うなど、ビジネスやスポーツ界からの信頼も厚い睡眠のエキスパート。

洗うことが出来るマットレスの素材とは

このタイトルから連想される一番最初の質問は「そもそもマットレスは洗えないのでは?」ではありませんか?実は素材によって洗いやすいマットレスも存在します。
しかも一般的に洗えないと言われる素材でも工夫を凝らして洗える様に改善している素材もあります。

▶︎ ファイバー(網状)素材
ファイバー素材はハウスダスト等にも水で流しやすく、すぐに水がはけ、乾燥もスピーディにできる優れた素材です。そのため業者に依頼をしなくても自宅のシャワ―で簡単に水洗いができる事がファイバー素材のマットレスの大きな特徴にもなっています。 ただし同時に肌触りにゴワゴワ感があるため寝心地はウレタンに比べて評価が低いと言われることが多くありますのでその点に注意が必要です。

▶︎ 特殊加工されたウレタン素材
抜群の寝心地を提供してくれるウレタン素材。一般的なウレタン素材は洗うことが出来ないため、衛生面を気にする方やハウスダスト等によるアレルギーを懸念されることも少なくありません。ただ、最近は特殊加工がなされたウレタン素材の開発によりもちっとした肌触りそのままに、水洗いができるウレタン素材が台頭してきています。ただしウレタン素材は水を多く吸収すると重くなりヘタリ等の原因になることもあります。又、水を含むことでマットレス自体が重くなることもありますので、サイズや洗い勝手の良さの確認は必要かもしれません。

▶︎ 防水加工マットレス
洗える、という観点からは少しずれますが、最近ではキャンプ用品の販売加速もあり、防水加工のされたマットレスも出てきています。防水加工をしているため、通気性がない点が課題と言われています。上記2素材と同じく、通気性がないことで寝心地に課題を持ち、蒸れや暑さで睡眠途中に起きてしまう、中途覚醒を起こす可能性もあります。

マットレスを洗わない事によるデメリットとは

人は毎日欠かさず睡眠をとりますが、睡眠中はコップ1杯以上の寝汗をかくと言われています。 そんな寝汗や寝室にたまったほこり、アレルギーの元になるハウスダストはカバーを洗い替えるだけでは不十分と言われています。

▶︎ デメリット1:アレルギーの原因となるハウスダスト
ハウスダストとはダニの死骸やフン、花粉、寝汗や皮脂など様々なものが含まれます。このハウスダストはくしゃみや鼻水、鼻づまり、目のかゆみ等様々なアレルギー症状となって現れます。ひどい場合喘息等となることもあり、快適な睡眠もできなくなってしまいます。

▶︎ デメリット2:寝汗等による臭い・カビ
マットレスに付着した寝汗はそのままにしておくことで菌が繁殖し、不快な臭いとなります。また場合によってはカビになり、そのまま放置しておくことでアレルギー症状として体調不良の原因になることもあります。

▶︎ デメリット3:家族の健康への影響
小児ぜんそくの主な原因のひとつといわれているのがダニです。実は多くの人が小児ぜんそくの原因がダニであるとの認識がないと言われています。日々の生活の中で多くダニと接触する可能性があるのがマットレスであり、そのマットレスを洗わないことにより、自分だけではなく家族の様々な健康まで影響を及ぼしてしまう可能性があるのです。

マットレスを洗う事で期待できる効果とは

▶︎ 効果1
実は生きたダニは天日干しをするだけでは殺せないということが分かっています。つまり、マットレスを洗う事でしかハウスダストによるアレルギー症状の原因のひとつであるダニをしっかり駆除することが出来ないのです。実際に東京都では、快適な居住環境の状態を示すガイドラインとして 「健康・快適居住環境の指針」 を策定し、健康を支える快適な住まい方を提言しており、その中でもマットレスや寝具の丸洗いを推奨しています。
東京都福祉保健局HPへ>

▶︎ 効果2
住んでいるエリアや条件によって布団を外に干すことが出来ない場合や禁止されている場合もあると思います。そういった場合においても簡単にマットレスを水洗いすることが出来ることは、どんな条件下でも衛生的な寝具環境を維持することができ、そもそも健康で質の良い睡眠をとるためにも重要であると考えます。

▶︎ 効果3
仮に水洗いできるだけでなく、自宅のシャワ―でさっと水洗いできるマットレスの場合、経済的にも非常に大きなメリットになるのではないでしょうか。マットレスを業者にお願いして水洗いをしてもらうのはコストも労力もかかることだと想像します。簡単にマットレスを自宅で洗えるなら、洗う頻度も増え衛生的で気持ちの良い睡眠を毎日簡単に維持できることになります。

白濱龍太郎先生によるまとめ

睡眠にとってしっかり呼吸ができることが非常に重要です。
深い呼吸を続けることで血流を促し血行を良くしてくれ、入眠時に重要な深部体温をスムーズに下げる事に繋がるからです。呼吸を深く行うためにはアレルギーの元となるハウスダストを除去し、寝具環境を衛生的に維持することは大事なポイントのひとつです。

特に、日本の夏は温度と湿気の影響でアレルギーの原因となるダニが発生しやすいので、可能な限り1週間に1度、長くみても1か月に1度はマットレスのケアをしてあげる必要があると思います。

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